4/19〜4/26に私たちSAKURA Tempestaのメンバーから、立崎(のいさん)、後藤(ゴッチさん)、町田(マッチー)、そしてメンターから私(廣瀬)が、FIRST Championship 2022を見学し、さまざまなノウハウをチームへ持ち帰るためヒューストンへ渡航してきました。 この活動日記は、そんな渡航の様子を廣瀬からの目線で書いた見学記、チーム編です。 ※よりリアルな活動の様子や感じたことをお伝えするため、メンバーを普段呼んでいるあだ名で書いています。また、内容は私見となるため、チーム全体としての意見や感想ではありません。 ※時間は現地時間で書かれています。 ※SAKURA Tempestaはメンバー内で「さくてん」と呼ばれています。
今回SAKURA TempestaはチームとしてFIRST Championship出場権を獲得した訳ではありません。そのような中でこれらの4名が渡航することとなったのは以下のような理由があってです。
- 立崎がHawaii RegionalでDean’s List Finalist Awardを獲得し、そのCelebrationがFIRST Championshipで行われるため
- メンターの廣瀬が、今回Championship出場権を獲得した日本のFRCチーム、Yukikaze Technologyさんのメンターという立前で同行することになったため
- 2022/3/18に公開された、SAKURA Tempestaも出ているドキュメンタリー映画「More Than Robots」のイベントがChampionshipで行われ、SAKURA Tempesta創設者の中嶋が登壇するため
- Championshipを見学し、強豪チームをリサーチして様々なノウハウをチームに持ち帰り、来シーズンこそチームとしてChampionshipに出場できるようにするため
今回は、渡航した各メンバーがそれぞれの視点から活動日記を書いています。
<立崎>
- FIRST Championship 2022 見学記【1日目/立崎】
- FIRST Championship 2022 見学記【2日目/立崎】
- FIRST Championship 2022 見学記【3日目/立崎】
- FIRST Championship 2022 見学記【4日目/立崎】
<廣瀬>
初めに
チーム編では、すごい!と思ったチームを紹介していきます。
すごいと思う基準は、
- 歴史
- ロボットの強さ
- 有名さ
- アウトリーチ
などなど様々です!
また、FRCでは他のチームをそのチームのチーム番号で呼ぶのが主流です。
最初はチーム名も合わせて紹介しますが、それ以降は主にチーム番号で他チームを呼びます。
なお、一般にチーム番号が小さいほど古参のチームです。例えば118であればFRC歴26年です!
ちなみに、私たちSAKURA Tempestaのチーム番号は6909です。是非覚えてください!
それでは、紹介スタートです!
118 (Robonauts)
FRC界隈ではおなじみと言ってもいいチームです。
Clear Creek Independent School Districtという学区にある6種の高校の生徒からなるチームで、NASAと共同で1997年に創設されました。
Championshipにはこれまで約20回出場、2015年には優勝も果たしています。
このチームはロボット、ロボットがとにかくいいです。
毎年Robot Reveal(ロボットの紹介動画)を出しているのですが、どれもかっこいいです。
Robot Revealの再生リストはこちら
(個人的なお気に入りは2013年です。ライトがかっこよすぎる…!)
さて、そんな118の今年のロボットの名前は”Horizon”です。
今年も例に漏れず白と金を基調としたデザイン。
フレームの肉抜きがとても綺麗です。
動作もかなり安定しており、クライムがかなりスムーズです。さくてんも似た手法を使ったのですが、何倍も早く、安定しています。
クライムの速さの秘訣を聞いたところ、モーターを3つ、ギア比を30:1にしているということを教えてくれました。
さくてんはモーター1つ、ギア比202.5:1なのでかなり違います。
この違いには驚かされました。
また、この肉抜きはかなり軽量化に貢献しています。ボールの射出機構を持ち上げさせてもらったのですが軽すぎてびっくりしました。
加工の強さを思い知りました。
118に限らず、Championshipに来てるチームは加工をかなり行っており、さくてんも加工に力を入れなければと感じました。
148 (Robowranglers)
こちらもかなり有名チーム。
Greenville High Schoolの生徒が集まっているそうです。
Robot Reveal一覧はこちら
そしてそんな148の今年のロボットは”Quickdraw”
このロボット、なんと言ってもクライム機構がいかつい。
他のロボットと比べても、クライム機構の大きさがすごいです。
大きさだけでなくそのロック機構もすごい。
この機構自体はメンターさんが考えたそうです。
254 (The Cheesy Poofs)
このチームは文字通り殿堂入りのチームです。
というのも、このチームはHall of Fameチームです。
Hall of Fameには、ChampionshipでChairman’s Awardを獲得するとなることができます。受賞すると10年間はChampionshipへのシード権を得られるため、かなりのFRCチームがこれを狙っています。
このチーム、かなりの人気があり、ピット(大会でのチームの活動場所)は常に人だかりがありました。
先程紹介した118とピットが隣り合っていたのでこの周辺だけすごいことになっていました。
しかし、このチーム、それだけではありません。
普通にロボットも強い。
これまでに5回Championshipで優勝しています。
(ロボットの紹介などはこちら)
今回のChampionshipもなんと優勝してしまったわけですが、当然ながら強い。
最初の15秒間はコントローラー無しの自動制御ですが、やってることが完璧すぎるんです。
ボールを5個入れる、これだけでもなかなかです。特に、ボールを2個回収した状態で3つ目の前に行き、連続で3個発射するところ。これをやってるチームは254以外には見かけませんでした。大体は2、1、2個のように発射しています。発想がすごいです。
このように効率のいい動きをしているので他に比べ時間の余裕があります。
その間に何をしているかというと、なんと相手のボールをどこか適当なところに飛ばしています。少しでも優位に立とうという姿勢は恐れ入りますね。さすが優勝チーム。
(ちなみに118もボールは2個しか入れていませんが、相手のボールを端に追いやるという戦法を取っていました。)
341 (Miss Daisy)
さて、こちらのチームもHall of Fameです。
こちらのチームはどちらかと言うと個人的な気持ちで入れています。
Winnerになるほど強いチームではあるのですが、それだけではないです。
とても優しかった…
FIRST Championship 2022 見学記【2日目 / 立崎】
こちらの記事でも語られていますが、チーム運営に関するアンケートを取った際、10分以上に渡って説明をしてくれました。見ず知らずの人に対して全力で物事を教えてくれる姿勢には感動しました。
Hall of Fameになっても気を抜かず、全力で取り組むからこそHall of Fameを取れているのだと実感しました。
普通にかっこいい
696 (Circuit Breakers)
このチームはなんと言ってもクライムの速さです。
めちゃくちゃはやい。普通短くても10秒くらいはかかります。
それより短くても棒をスキップしたりなどの特殊な登り方で、この正攻法では随一の速さです。
この速さの秘訣はセンサーです。センサーを付けることで完全自動化しているそうです。それでこの速さを生み出しているんですね。
これを実現するクライムの安定性には脱帽です。
2481 (Roboteers)
このチーム、普通に強いチームです。
2013年から毎年Championship出場、2016年には優勝もしています。
ですが、今回注目しているのはそこではありません。
このチームのフレームとクライムの方式です。
この動画の51秒から見てみてください。
壁を伝って登るというなかなかにいかれた発想です。
最初はリーダーのジョークだったそうで、この方式、そしてこの形のフレームにしたのはTriple Traversal Climbのためだと言っていました。
実際にChampionshipでもTriple Traversal Climbを決めています。
4907 (Thunderstamps)
このチームは今年急に注目を浴びました。
2019シーズンにもChampionshipに出場していますが、それほど強いという印象を受けませんでした。
今シーズンはロボットが無双したのか?というと、そうでもありません。
(とはいえちゃんと強いロボットではあります)
注目されたのはその特別なクライム方式です。
次の動画の15秒辺りを見てみてください。
見ての通り、このロボット、ジャンプします。しかも成功率はほぼ100%。
これは(恐らく)唯一無二の方式で、Championship以前からかなり話題になっていました。
空気を使って飛ぶ方式で、飛ぶ直前に力を蓄えています。
直前まで力を蓄えないこと、棒に掴む機構をソフトを通さずハードだけで動かしていること、ロボットがdisableしたら絶対発動しないことなど、かなり安全性に気を使っていました。
さくてんのメンバーが実際に訪れた際も丁寧に説明してくれました。
終わりに
お楽しみいただけたでしょうか?
この記事ではクライムに注目しがちでしたが、ボールのシュートがすごいところもたくさんあります。
紹介しきれませんでしたが、 67, 503, 1577, 1690, 4265, 4481, 6800, 6998などもすごいので是非調べてみてください。
調べるときは、The Blue Alliance というサイトが便利です。
他にも注目すべき試合の解説などをしていければと思います!
次の記事をお楽しみに。
参考:
The Blue Alliance
Robonauts | Team 118 | Houston, TX
Homepage (Robowranglers webサイト)
Team 254 |The Cheesy Poofs
Team341, Miss Daisy
Championship Eligibility Criteria
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